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函館プロローグ

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すっかり旅の仕方を忘れてしまった。日本一周の旅を終えて1年半、それ以来の一人旅。準備1つとってもどうもまごつく。なんとも旅に出るという手応えがないのだ。
5時、まだ夜が空け切らぬ頃に家を出る。雨。だが、北海道は晴れているはず。暫しの辛抱と、ちょっとウンザリしながら傘を差し、歩き出す。するとそれまでのモヤモヤが消えて肩が軽くなる。足が前へ出る。そうそう、この感じ。旅の雰囲気。少し調子を取り戻す。そうだった、旅なんて進めばいいのだった。

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飛行機の中。時速700kmという世界の中に、しゃんと座っているという異常感。目の前のモニターが福島を超えて岩木山を越えるが、まったく現実感がない。日本一周のときはあれだけ苦労したとか思っても略無意味に飛行機は高速。満席で真ん中の席、気晴らしの景色も見れずただ座る。九州まで辿り着くのに2週間掛けたのに、飛行機に乗るとたった3時間で着いてしまう沖縄にしばし狐に化かされたような、その感覚。浪漫飛行もあったものじゃない。
その狐に化かされたまま、1時間後に飛行機は高度を下げる。どうも函館に着いたらしい。もしここがサハリンでもまったく驚かない。そんな非現実感のまま荷物を持って飛行機を降りる。しかしだ、ボーディングブリッジからふと目線の先に函館山。子供が砂場で作ったような平べったい山をみてふと我に帰る。そうそう、僕は函館を目指して函館に来たのだ。やっと旅の風情。あの山が僕の旅に色を蘇らせてくれた。

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こうして僕の函館の旅は始まった。

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