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H2/あだち充(と映画タッチの話)

  • 投稿者: hello
  • 2005/09/05 23:50


H2(エイチ・ツー)全17巻 完結コミックセット(ワイド版)(少年サンデーコミックス)

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先週、TBSでH2再放送を見ました。
原作はコミックであだち充の作品。高校野球に打ち込む高校生たちの瑞々しい青春恋愛モノです。
まず、あだち充+高校野球といえば「タッチ」を語らずしてこのH2はあらず。タッチは高校生の複雑な感情を清々とした描写で描き切ってしまう、独特のあだち充クオリティーといえる描写がふんだんに盛り込まれた大ヒット作品で、執筆から20年経った今も尚青春のバイブルとして通用するスケールの大きい作品です。当時は、ヒロインの朝倉南が理想の女性として偶像化され、マスコミは「南ちゃんを探せ」と称した番組を作り、高校を取材してその学校のヒロインを紹介していたという逸話まであります。
このH2はそのタッチの感性やクオリティーをそのまま、さらに登場人物を増やし絡ませつつ、大きなストーリーになりながらも見事に描き切った作品。ストーリーは関連性はありませんが、言わばタッチの進化版といえる、これまた非常にスケールの大きい名作なわけです。


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というわけでドラマの感想に筆を移すわけですが、ここは注文になってしまうわけで。本筋を壊すような新キャラクターやオリジナルストーリーはなく、ストーリーの展開はほぼ原作に忠実。ですが、この作品のすべてであるといっていい、肝心なあだちクオリティーの場面がほぼ出てこなかったこと。とりわけ作品を良し悪しを握る人物が、そのクオリティーとは真逆の演技をしていたことが実に悔やまれます。漫画に忠実に再現するべくいわゆるマンガチックな笑いを表現しようとしている場面もありましたが、逆にそれがお門違いだったり。これでは原作を再現するというよりは、原作をなぞっただけのやっつけ仕事であるように思えました。
最後の30分は、原作にない甲子園以後の話。あれはオリジナルストーリーではなく、本編の種明かしですね。その種明かしをすべて役者にしゃべらせてしまうというのは、あだちクオリティーとは真逆のベクトル。なぜあれを30分も割かなければならなかったのかいろいろな理由と原因があるわけで、その点妥協の考慮の余地はあるのですが、あのように分かり易くしないと伝えるべきことを伝えられなかったというのは、やはり残念無念。しかもあの30分がドラマで一番良質の場面であったというのも事実。H2の良さを再確認できる補講としては充分に効果があったというのはいかにも皮肉です。
勿論、同じ作品でも見る人の動機や切り口は違うわけで、例えば原作を見てからドラマを見た私と、ドラマしか知らない人では感想も違うわけですが、原作を先に見た方は少なかれ同じような感想を抱いたのではないでしょうか。また、原作を見ていない方は是非お勧めしたいと思います。
ちなみに、34巻のストーリーを11話のドラマに表現すること自体が難しいという企画そのものをのっけから否定するようなことは言いません。

ここまで語ったところで、私の視点は映画版「タッチ」のほうへ向かうわけです。偶像化された朝倉南を実写化するのはほぼ不可能とされていたのですが、それを踏み切ったのは恐らくいまや飛ぶ鳥を落とす勢いの長澤まさみさんが存在があるから。そう考えるとこの起用が作品の全てになりそうだと想像がつきます。
そこで、このH2の出来を鑑みつつ、主演の長澤まさみさんの「原作を意識しない」旨の発言を受けると、何かH2の二の舞になる危険が感じられ。映画館に足を運ぼうとする気持ちを抑えてしまいそうですが、監督が「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心さんと聞いて、少し期待を取り戻すことが出来たかと。「ジョゼ−」を見る限り、作品の雰囲気を非常に大切にする監督さんという印象はあります。
9月10日公開。どちらにつけても恐らく高評価が与えられることは目に見えているわけなのですが、あくまで個人的にはあだちクオリティーがどれだけ出ているのかが重要なところであったりするのです。
はてさて、どうなっていることやら。長澤まさみの功罪映画とならなければいいが。

関連リンク
H2ロケ地-全国ロケ地ガイド
H2〜2人のHero〜
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