ホーム > > 坊つちゃん/夏目漱石

坊つちゃん/夏目漱石


坊っちゃん (新潮文庫)

Powerd by AmazonLink 2.0.0 beta3.


1906年。いうまでもない夏目漱石の代表作。説明いらずの名作ですね。「吾輩は猫である」に続くヒット作ですね。夏目作品は個人的には前期三部作と呼ばれる「三四郎」「それから」「門」に続いての購読でした。まぁ読んだといっても5年くらい前の話なのですが。当然、今回の松山行きを決めてせっかくだからこれくらいは読んでいこうかな、と。ちなみい坊つちゃんは坊っちゃんじゃなくて、「っ」が「つ」なんだそうです。
物語はぼっちゃんが松山に教師として赴任して悪代官的な上司をやっつける痛快劇。何とも私の浅い漱石本のイメージとはずいぶん違っていました。まずはこんな感じなのですかね。いわゆる勧善懲悪のヒーローモノというわけですが、悪代官をきりきりと締め上げて参ったをさせながらも素早く去ってしまうというのがコツらしいです。黄門様もウルトラマンも仮面ライダーもすっと去っていってひっそりしている。これが人気の秘訣だとか。何ともそんなヒーロー像の源流がまさにここから来ているのかもしれません。
源流といえば、この作品は日本の純文学における源流ともいえますね。主人公の幼少の話から始まって、様々なエピソード(道後とかうどんとか)を入れて人物像を膨らませる。俺という一人称でつらつらとイメージ像を作り上げていくのは、もう現在の純文学では基本中の基本。門下にはかの芥川龍之介がいたとのことで、この系譜は見事現在の純文学に受け継がれていますね。日本の小説は明治から発したといわれていますが、まさにここが出発点だったのではないでしょうか。いってみれば日本純文学の父。西洋音楽でいえばバッハとかモーツァルトの位置ですかね。日本文学史にはあまり詳しくないで大きな声では言えませんが。
その他気づいたところをいうと、やはり舞台の松山。漱石と同派の俳人正岡子規は松山出身で親交があるのは有名なところ。また、この小説を書くことを薦めたといわれる高浜虚子も松山出身。漱石自身も旧制松山中学(現在の松山東高校)で教鞭をとったと、この地が夏目作品を、純文学を生んだなんて考えると面白いです。さらには松山に夏目漱石を賛して「坊っちゃん文学賞」なるものがあって、そこから松山東出身の敷村良子氏が高校時代の思い出を「がんばっていきまっしょい」に記して受賞、ヒットなんてええですね。
逸話その2。私の好きな村上春樹も現代の夏目漱石なんていわれますが、なるほどと思ったのをこの本で見つけました。こちらを読んでいると村上春樹の勧善懲悪モノ「羊をめぐる冒険」が明確に思い描かれましたね。まぁ勧善懲悪はすべてこれに準じてしまうところがあるわけですが、それだけじゃなくて「俺」と「ぼく」の一人称世界観や、友人と悪を倒すところとか酷似しています。もっと「羊−」のほうはその友人が死んでいたりとか、伝えたいことそのもののテーマは違っていて、わざわざ重ね合わせること自体にも無意味であるとも言えそうなんですが、やはり世界観ですかね。単純にこのお2方の描く世界観がとても好きです。

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:0

この記事のトラックバック URL
http://www.helloalive.com/blog/839/trackback
トラックバックの送信元リスト
坊つちゃん/夏目漱石 - 茜食堂 より

ホーム > > 坊つちゃん/夏目漱石

検索
フィード
メタ情報