- 2009/07/15 22:12
- 本

プリンセス・トヨトミ
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2009年新刊。「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」に続く、泣く子も黙る関西モノノケシリーズを手掛ける万城目学の3作目にあたる最新刊であります。本作の舞台は大阪。前作はそれぞれ京都、奈良ときております。JR西日本の触れ込みで言えば大阪、京都、神戸で三都物語となるわけですが、関西の歴史の舞台の三都と言えば当然、京都大阪奈良となりますね。とにかく万城目作品にお目にかかってすっかり染め上げられてしまった私。映画もドラマも当然エッセイもしっかりコンプリート。この新作も飛びつくように読みましたです。
といった感じで期待が強かったんですが、結論から言うとそれほど面白くはなかったというのが正直な感想です。
まず題材。今回は大阪ということで豊臣からお話を引っ張ってきていますね。そして大きな主題はプリンセスを守る男たちとそれを見守る女、そしてそれを伝える親と子の絆、すなわち家族の繋がり。なるほどセーラー服が似合わないオカマってのはお見事、と設定の使い方は相変わらず面白い。今回は物語を動かす軸の人間(かの3人)も増えて、キャラクターもしっかり付与してある。こういったところからは作者自身の上手さ巧さが感じられるわけですが、正直前2作に比べるとあの持ち味のインパクトが感じられない。そこに一抹の寂しさを感じてしまいます。前2作には神事の神秘や神の戯言というものがあったんですが、今回は豊臣。いわゆる教科書でご存知な歴史上の名君です。分かりやすいといえば分かりやすいのですが、そこの俗さ前2作と比べてがつまらないですね。前2作も歴史と言えば歴史なんですが、見る人に有無を言わせない腕っ節というか、からりとして遊びがあって、それが面白いわけです。もっとも、あくまで「前2作との」比較でいってるだけでこれはこれでなかなか。何といっても京都でオニが戦ったり、奈良では鹿が日本語をしゃべるんです。明確さ、容易さ、巧みさは今回の小説で感じたものの、やはりどこにでもある小説はそれこそどこかで読めばいいので、万城目作品ではちょっと味わいたくないな、と。
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