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scene 21 留萌

9月22日 北海道天塩町 曇→雨 4795km

8:00起床。もうすっかりこの遅起きが身に付いていた。天候は曇。昨日の好天は影もなし。この後の天候は下り坂の予報。先に進むか留まるか悩みつつ、昨夜から宿を共にした旅人と談笑に耽る。
刻々と過ぎる時間。その時間が惜しくなって、出発することに決めた。午後から降り出す予報。雨が降るまでに出来るだけ距離を稼ごう。
と出発したはいいものの、走り出してから30分で雨は落ちてきた。名前も知らないバス停に籠もり、合羽を着る。
羽幌に入った辺りから雨は強くなりだした。雨中の走行は億劫だが、一旦走り出すと、今度は止まることが億劫になる。喫茶店でもあればさっと入ってしまいたいが、広い北海道に都合よくそんなものはない。退くに退けない状態のまま、13:00、小平町の道の駅おびら鰊番屋地図)まで足を進めた。

屋根のあるベンチで合羽を脱ぎ、雨宿りついでに食事をする。この道の駅には3つの建物が立っていて、中央が食堂などがある本棟、正面から向かって左に小平町の歴史資料館のようなもの、右に重要文化財とされる旧花田家鰊番屋が建っている。が、この重要文化財、先の台風で破壊されていた。丁度修復のための枠組みが付けられているところで、見学はできないとのこと。折角の文化財がこの有様、と同情してみたが、この鰊番屋は以前にも改修したことがあるとのこと。重要文化財とはいかに。
食堂では鮭の親子丼を。いくらと生のサーモンが載っているものだと思ったら、鮭のフレークだった。

食事をしてからしばし雨をやり過ごしてみたが、やはり雨は降りやまず。すっかり気持ちの萎えた僕はあっさり今日の宿を隣町の留萌に決めた。これで今日の移動は100km程度。昨日も100km程度。半日で走れる距離を2日も掛けて走っている。旅のもどかしさが募る。何かこの旅を投げ出したいような衝動。
あと30分、と意を決して走り出した。すると留萌に着いた時には雨がさっと止んだ。さらにもどかしさは募る。だが、これ以上走る気にもなれず、そのまま留萌の宿に入った。

この日の宿は留萌みつばちハウスARFという無料のライダーハウス。留萌ARFという民間団体が運営している。
まず宿に着いて、施設の説明を一通り受ける。それはごみの分別とか、食器の洗い方とか、パックは潰して入れろとか、トイレは必ず電気をこまめに消すように、と多岐にと言うよりは教訓めいたものが多い。ここのライダーハウスは長期連泊者が多数おり、事実上のその人たちの自治で運営されているのだ。
その一人一人と喋ってみると好感が持てる人たちばかりと気付いたのは後の話で、一見はかなり閉鎖的だ。彼らはここで生活をしており、この宿の中では様式が出来上がっていて、我々のような一過性でここに泊まる旅人にそれを教える。まだそれが一つのコミュニティーを作り出す。アンニュイでアンバランス。それでもって新しい小宇宙。そんな宿だ。

そんな宿の息苦しさにため息をつきたくなって、雨上がりの街を散歩に出た。留萌の街は曇空が非常に似合う。いささか古めかしい建物が並んでいて、それはそれで一つの傑作の絵画のようで違和感はない。そして、その絵画から一つのドラマが始まりそうな気がしてくる。
愛すべき留萌の街並み。また足を運びたくる気持ちにさせてくれる街だ。

9月22日 北海道天塩町→留萌市 曇→雨 123km

8:00 起床
10:20 出発
13:00 道の駅おびら鰊番屋着
15:30 出発
16:00 留萌着
16:30 散歩
18:30 食事
19:30 入浴:銭湯
21:30 談笑
0:30 就寝

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