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scene 30 函館

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北海道七飯町東大沼 流山温泉キャンプ場

10月5日 曇 北海道七飯町 6483km

8:30起床。昨夜思いもかけない美しい星空を見せてくれた流山キャンプ場だったが、さすがに寒さは堪えた。動きが鈍い。
だんだんと上がる気温に体を慣らしていって、10:30にやっとテントを撤収、出発する。船の時刻表などを考慮して、北海道を後にするのを明日の早朝と決めていた。この日は隣町函館まで行けばいい。この日は急ぐ旅ではない。最後の北海道の日を味わいたい。

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北海道函館市大船町 大船下の湯温泉

キャンプ場からそのまま道道43号で東進。太平洋岸へ出る。11:00に大船下の湯温泉(地図)に到着。大船下の湯温泉は、現在は函館市に合併された旧南茅部町の大船集落から内陸に入る道道980号を進んだところにあるのだが、看板も立っていなく道が分からない。市営の大船上の湯温泉の手前右手にある木々に囲まれた未舗装のスロープを降りるとあるのだが、この周辺を何度も行き来して、分からぬまま坂を下りたら何とか見つかったという有様。小樽の友人に勧められて来たのだが、あらかじめ「道が分かり難い」と聞いていたから辿り着けたようなものだ。

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北海道函館市大船町 大船下の湯温泉

大船下の湯温泉は明治に開湯したという歴史ある温泉。建物は木張りで湯船があるだけの非常にシンプルなもの。温泉のろ過装置などあるわけがない、源泉掛け流しの素晴らしき泉質。刺青が見事に入っている地元の漁師が主に浸かりに来る、地元のための温泉。外から来る者は噂で駆けつける温泉マニアでそれも少ないそうだ。所有も個人のものらしい。料金も200円。これでも改装したらしく、元はもっと鄙びた印象のある温泉だったという。

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北海道函館市大船町 大船下の湯温泉

温泉の残留物が固まっている。友人は気に入ると薦めてくれたのだが、僕はこれを見ただけでこの温泉が気に入ってしまった。泉質は含硫黄-ナトリウム塩泉。僕はご満悦で刺青の漁師と一緒に温泉に入った。


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北海道函館市大船町 大船下の湯温泉

建物脇にある温泉口。大量の温泉が側を流れる大船川に流れさている。


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北海道函館市若松町 ラッキーピエロ函館駅前店にて

12:00、道道83号で川汲峠(地図)を通って函館市街へ。そこでのんびりと煙草を燻らす。もう何もやることはない。ネットカフェへ行ったり、郵便局で荷物を送るくらいだ。ただゆっくりと時間を味わう。


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北海道函館市末広町 函館西波止場

16:00、一度宿にするライムライトへ行き、荷物を置いてから西波止場地図)へ向かった。


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北海道函館市末広町 函館西波止場にて

そこで港を見ながら、サッポロクラシックと洒落込む。ゆっくり時間を使う。


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北海道函館市末広町 函館西波止場にて

風吹く港町函館の中でも函館湾の凪は有名で、その中でも一番奥にあたるこの西波止場の付近はとても波が静かだ。その静かな海に電飾のロケーション。時間の感覚を忘れていく。だからといって、飽きることはない。明日の出航を前にして、至上の時間の使い方だと満足する。


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北海道函館市末広町 白鳳館

18:30、白鳳館へ。白鳳館はハンバーグ専門の、地元でも人気のある洋食屋。こじんまり店内に機能的なレイアウトをしている。内装にも拘りがあり気持ちの良い店だ。


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北海道函館市末広町 白鳳館

ガーリックハンバーグとライスを注文。ボリュームのある一品。それでいて美味しい。函館のこの地区には小さくて味が良い洋食屋が数多く軒を連ねている。
いい店が一杯。そんな店に一軒でも多く行きたい衝動に駆られる。この函館中の店を行き尽くすのに、そんな衝動が満たされるまで、どれだけの時間がかかるのだろうか。旅というものは本当に果てしないと思う。


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北海道函館市末広町 白鳳館

食事が済み、煙草を口につける。暗い店内で煙草の煙が立ち上っていくのを見つめていると、ぼんやりとした気分になる。煙草の煙に視線を合わせながら、うわの空でどうして自分は旅をするのだろうなどと、答えにならないことを考える。
旅の中で一番多く聞かれる質問がそれだ。「どうして旅に出るのか」。実はあまり僕も分かっていない。でも、皆は自分の行動、他人の行動に意味や意義を求める。だが、本当に皆そんなことを分かっているのだろうか。自分が生きている意味や意義を答えられる人などいるのだろうか。
僕は旅とはただ生きていることと同じなのだ。

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北海道函館市元町 八幡坂

予定よりも長引いてしまった北海道の旅。オートバイに乗ったら北海道へと思い、今年で3年連続北海道に来ている。そして明日北海道を、函館を発つ。
この長い旅が僕に何らかをもたらしてくれるのだろうか。でも、それは少なくともあの時函館に立っている僕には分かることではなかった。
この後、先日は別にところにいた札幌、余市で宿を共にした旅人たちと合流、一緒に元町の重要歴史建造物や坂(地図)を巡ったのを最後にして宿に戻った。

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北海道函館市港町 函館港フェリーターミナル 東日本フェリー「ばあゆ」船上にて

10月6日 晴 北海道函館市 6563km

7:30起床。朝食を頂く。この宿は簡素だが朝食とコーヒーをサービスしてくれる。
8:45、オートバイに荷積みが終わり、まだそこに残る旅人たちに見送られながら宿を後にする。
朝の渋滞が起こる函館を縫うように港町にあるフェリーターミナルへ向かう。時刻は大間便出航の7分前。急いで乗船手続きを済まし、車両甲板へとオートバイを潜り込ませる。僕のオートバイが甲板に入ると、すぐにハッチが閉じられた。
僕の他にオートバイが一台。自家用車や貨物も疎ら。慌しく、静かな北海道からの船出だ。

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函館湾を抜ける東日本フェリー「ばあゆ」船上より

汽笛が長く鳴り響く。ゆっくりと確実に岸からフェリーが離れていく。湾の堤防を越える。そんな光景を僕はデッキから眺めていた。人の少ない船内で、それでも出航時に景色を眺めていた幾人かの人たちが皆姿を消していく。最後には僕1人がデッキに残された。船に固定された椅子に腰を掛ける。ふと気が抜けた。帰路のフェリーに乗っているという安堵もあった廊下。6000kmをオートバイで移動してきた自分にとって、このフェリーの時間はとても貴重に思えた。今までに旅を思い返す時間などなかった気がする。思えば出航までも慌しくて感慨に浸る余裕もないままに、この時間を迎えている。
旅の中での全ての出来事が偶然であったり必然であったり感じられた。そして何一つ確かなことを掴んだとも思えない。それはこの旅をこのまま一生続けてもきっと分からないことなのだと思う。
そのとき船上で自分が流している涙の訳も分からないのだから。

1人でデッキで30分も泣いている男を連れてフェリーは函館から大間へ、津軽海峡を斬進する。

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東日本フェリー「ばあゆ」 出航前の車両甲板

10月5日 曇 北海道七飯町→函館市 80km
8:30 起床
10:30 出発
11:00 大船下の湯温泉
12:00 函館市街着・ラッキーピエロ函館駅前店
14:00 ネットカフェ
15:30 ライムライトへ
16:00 西波止場
18:30 白鳳館にて夕食
19:30 ラッキーピエロ ベイエリア店にてコーヒー
20:30 元町夜景散策
21:00 ライムライトへ戻る
21:30 銭湯
23:00 酒宴
0:30 就寝

10月6日 晴 北海道函館市
7:30 起床・朝食
8:45 出発
9:30 出航

ハリストス正教会ライブカメラ
函館西波止場ライブカメラ
scene1-1/1-2/1-3 函館-この旅の行きの行程で訪れた函館のツーリングレポート。サイト内リンク

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