- 2007/10/11 00:00
- 映画

エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版 [DVD]
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2005年。青山真治監督作品。出演は浅野忠信、宮崎あおいのお馴染み面子に、筒井康隆、エリカなど。
基本ラインは青山流死生観に音楽を連字譜的に絡めた作品、といっていいでしょうかね。
さて本編は、近未来に蔓延した自殺病の処方箋として音楽が提示されます。その音楽というのがいわゆるノイズ的音楽で、これが第一印象の疑問。もっと別にあったんじゃないのかな、と。
ただ物語との符合性はあるんですね。それが処方箋になるかどうかは別として、音楽の創造性、つまり今までにない新しい音楽、という観点から見ると、物語はとてもすっきりまとまっています。いろいろなものから音楽を抽出する音楽の製作過程を物語の随所に見せているところからも、推測されますね。既存に捕らわれないポスト(次世代)的なものとしてのノイズ音楽。例えばなんですがアメリカのジョン・ケージという作曲家は「4分33秒」という名前の、4分33秒間を無音で過ごすという曲を作曲したり、ピアノをぶっ壊す音を曲とした人もいたりするんですが、そのような前衛的音楽を今回提示したということになりますかね。物語とともに映画として。常に今までにないもの=新しいことに取り組むことを是とする青山監督の音楽観、ということになるでしょう。
でも、やっぱりあの音楽なのか、と問いかけたくなるもが私の心情。もっと別になかったのだろうか。とりわけ音楽は個々人の志向が強く出るもの。それをポストと認めるのは提示した側ではなくて、聴いた側の問題ですね。ややもすると押し付けになってしまうことが一番の問題です。
映画のお話でいえばかなり物語はよく出来ています。精密にといってもいいくらい。舞台は北海道の釧路や厚岸など南東部ですね。すんごい雰囲気出ています。ロケハン完璧でしょう。
最後に、エリ・エリ・レマ・サバクタニという呪文のようなタイトル。これは、キリスト教の新約聖書、マタイによる福音書27章46節にある「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」(新共同約)のヘブライ語ですね。イエスが弟子に裏切られ十字架に張り付けになり、息を引き取る直前に叫んだ言葉とあります。イエスが人々の罪を背負う、キリスト教にとってとても重要な場面であります。
ところで、この映画にこのタイトル。似つかわしくないですねぇ。描かれているのは日本的世相感。確かに物語としての辻褄は合っているんですが、描かれた死相感があっていません。エリ・エリ・サバクタニの後にキリストは復活します。栄光へと向かうんですよね。そのあたりの扱いがちょっと疑問ですね。軽々しいです。どうせなら「ああ無常」としたほうがよかったのでは。
評価 ★★★★☆
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- エリ・エリ・レマ・サバクタニ - 茜食堂 より