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蛇イチゴ


蛇イチゴ [DVD]

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2003年。西川美和監督作品。脚本も書いているということで監督のオリジナル作品ですね。主演は宮迫博之。映画初主演。西川監督も監督としてのデビュー作となるわけですが、その前は「誰も知らない」の是枝裕和監督の下で助監督をやていたとのこと。是枝監督は本作にもプロデューサーとして名を連ねていて、愛弟子のデビューに花を添えたといったところですかね。
物語はとある家族が崩壊する話。その崩壊の過程を描くというよりは、もう既に崩壊している家族を、その人間性から考察して描いた印象。この辺りが非常に脚本の良さを感じさせてくれます。視点が見事。表面的にはいい家族に見えても、中身はこんなものだよ、ってね。このあたりは、一見明智家よりも性質の悪そうな姉家族の対比や、過去にまだ金銭トラブルのない親父が息子を勘当したにも拘らず、その息子に金を借りるところからも見て取れます。
それ以上に素晴らしいのがラスト。放蕩息子、会社を首になって借金塗れの父、1年半痴呆症の祖父、その介護に疲れた母、のなかで唯一真っ当な娘。父親に一からやりなおそうという正義感、母親からあなたはいつも正しいことしか言わないと皮肉られつつ、絶対に私は曲げないと気張る女性。歪められた正当性に対峙する姿に、多くの人は共感をもって映画を見ていたはず。そんな彼女も人を疑うことから逃れることが出来なかった、という圧巻ですね。小学の教員である彼女は決して間違っていることをいっているわけではなく、最後兄から逃げるところも少なからず真っ当であるわけで、それでもリビングに戻って、テーブルの上に蛇イチゴを見て愕然とする彼女の様は、如実としてこの物語のテーマを表していますね。圧巻の脚本です。
そんな素晴らしき脚本にさらに高めたのは、やはり宮迫の演技。はまり役ではありましたが、それにしても付け入る隙のない見事な演技。その他つみきみほや平泉成さんもお見事。蛍ちゃんは振り返らなくても蛍ちゃんってわかりましたけどね、一応監督の蛍原さんへの敬意ですかね。

評価 ★★★★☆

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