- 2008/07/23 23:59
- 映画

菊次郎の夏 [DVD]
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1999年。北野武監督作品。私的には3作目の北野映画となります。主演は北野映画に当然欠かせないビートたけし、その他出演は、岸本加世子、吉行和子、細川ふみえ、麿赤兒、グレード義太夫、井手らっきょなど。細川ふみえといえば元祖グラビアアイドル。巨乳タレントってまだあの頃は少なかったですもんね。今じゃ当たり前のようにそこらに散らばっていますが。
母を捜す少年と中年男のロードムービーというのがこの映画の触れ込み。あれ、菊次郎の夏ってたけしの少年時代の生い立ちの記じゃなかったっけ、という方、違います。それはドラマなどで放送された「菊次郎とさき」ですね。
いかにもたけしが味付けしたというギャンブル好きでケンカっ早いけど弱くて心温かい中年の珍道中。面白くも心温かいお話。
といっても旅の目的であった母との再会は映画の半分、1時間ほどで達成されてしまいます。そこからはたけし流のおふざけを開始。むしろ、というか当然こちらのお遊びがメインな訳です。天使の鈴で話が終わっていたら、どこにでもあるようなお話ですよね。母との再会がハッピーエンドでもバッドエンドでも大して意味がないわけです。そこで河原でキャンプ。世の中は不条理であって、それを乗り越えるのは立ち入り禁止のなかに入っていくこと。無意味そうなバカ踊りこそ意味がある。そして、正夫(子役の役名)の夏ではなく、「菊次郎の夏」であったというパラドックス。導入の天使の羽がついたリュックからも解りますね。菊次郎といえば武の亡き父の名。そこへの問いかけも。真理がいろいろ詰まっていますね。
もう一度繰り返します。意味なくバカをやることの意味。現実を受け入れるとこういうものを忘れていくもの、という視点がここにあります。現実と理想、どちらが正しいのかというところから一歩先に行って、人がいろいろ忘れていたり失っているそのこと自体が生きているのだということ、そういうことを語る。完成度としては他の映画にいくらでも譲るところはありますが、このバカキャンプこそがたけしのオリジナル。そして、他の監督には出来ないことですね。いい旅、いい夏、そしていいキャンプだったと思います。
評価 ★★★★☆