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自虐の詩


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2009年一発目の映画はこれにします。

2007年。業田良家の原作コミックを堤幸彦監督が映画化。何でもその原作コミックは実のところ4コマ漫画だというので驚きですね。4コママンガといえばあの4コマで1話完結が基本で、それはそれで難しいものですが、なんでも連載中にいきなり4コママンガにストーリーを持ち出して「イサオと幸江」としてシリーズ化して長いドラマに仕立て上げてしまった偉業をなしてしまったというのが本作。革命的ですね。主演は中谷美紀。そして阿部寛。その他遠藤憲一、カルーセル麻紀、蛭子能収、名取裕子、西田敏行、島田洋八。松尾スズキが出てきたときは嬉しかったですね。あとMr.オクレやミスターちんなど久々にお顔を拝見することができました。

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不幸を背負う女性の幸せを求める半生を描いた物語。その薄幸ぶりをユーモラスに展開するお話でなかなか面白いです。とりわけいいのがあのちゃぶ台返しのシーン。昔はやさぐれ親父の代名詞みたいなところがありましたが、今じゃ男女共同参画が進んだのかもったいないのかすっかり姿を消しましたが、あれだけ絵になるアホさ加減がよいものはないですよね。前半に4連続くらいでちゃぶ台返しのスローシーンがありますが、どうも原作の4コマのオチがあのちゃぶ台返しってのが多いようで、それであの何でもかんでもちゃぶ台返しという連続性が生まれているようです。ユーモアというよりはシュールな感じでとても良かったです。
そんな前半に対して、後半は主人公の半生に真摯に迫ります。手術の中の回想はとりわけ見もので、一旦前半にエピソードを流しているのですが、後半では同じものでも核心を突くようにしっかり色分けして描いていますね。切り替えの上手さを感じます。切り替えといえばちゃぶ台返しにもありましたね。それまでスローで遊んでいたちゃぶ台が一度だけ普通のスピード、つまり勢いよく返されるシーン。今まで笑っていたれたものが、真剣味が一気に増すところ。そこの感情の落差と引き込み方がとてもいいです。しっかり感情移入できますね。原作自体の出来のよさも感じますし、映画もしっかり作っている印象。世間では簡単に人助けなんていっていますが、この物語の中に本当に助けるべき人がいて、そしてそれを可能にする愛というものが描かれているのだと思います。2人の結びつき、それが自虐の詩なんですね。生きるのに疲れた人にはとてもオススメできる映画です。
シリアスもコメディも出来る2人が主演ってのもかなり良かったと思います。阿部寛は元々堤作品で実績あって、「嫌われ松子」でもうこの手の演技に名声がある中谷美紀とくれば鉄板ともいえます。本当なかなかいい映画で、最後の永遠の友との再会まで本当によく出来ていたと思います。今まで堤作品はいくつか見てきましたが、これが一番ですね。もともと映像に力がある監督でコメディもシリアスも撮っていましたが、いよいよ実を結んだ感じですね。
ラストシーンといえば、アジャコング。熊本さんに会うことが決まって、誰があの熊本さんの現在を演じるのか、想像すれば彼女しかいませんよね。お見事です。これが笑えるのも映画自体かしっかりしていたから。良作。

評価 ★★★★★

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