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ルート225


ルート225 [DVD]

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2005年。芥川賞作家藤野千夜の原作小説を中村義洋監督が映画化。主演は「ゴーヤーちゃんぷるー」「夜のピクニック」の多部未華子。それに岩田力君が主役級。その他、崔洋一、石田えり、嶋田久作、田中要次、梅沢昌代などが出演。かなり端役でしたが眞島秀和も出てましたね。中村監督は、私初めて監督の作品を見たのですが、伊丹十三、崔洋一監督の下で助監督の経験があったらしく、崔監督の出演はこのあたりからかと。にしてもジャージの2人やらチーム・バチスタの栄光やらしっかり出世している監督さんですね。
物語は姉弟が国道(ルート225)を越えたことから知らないうちに今までと異なる世界にいってしまったというファンタジー。面白いのがこの異世界の味付けで、見た目にはほとんど変わっておらず、仲違いしていた何時の間にか仲直りしていたり、昨日会った友達に会っていないといわれたり、とそんな具合。一番変わったのは両親が消えたというところですね。そこでふと思います。この映画は両親が失踪したことを姉弟の視点で描いた物語だと。いつもの変わらぬ日常から両親だけがぽっかり抜けた状態。その状態を異世界(映画ではA→B→A’と表現されていましたね)として、何とか元の世界に戻ろうと真剣に奮闘する2人。でも当然導き出される結論は、元に戻ることは出来ない、となるわけです。ファンタジーにしたのはやはり視点を変える意図があったからでしょう。ファンタジーでなければあの玄関を開けたときに誰が出てくるかのドキドキ感がなくなりますからね。
それともう一つのテーマが過渡期を迎えた少女が大人になる成長期であるということ。弟が帰ってきて嬉しいくせにクールに見せようとするところから、世界を唯一繋いでいるはずの弟とケンカ、そして夢の中での孤独、真剣に元に戻ろうと取り組んだ末の残酷なはずの結末に対して「駄目じゃん」と笑う。そして小樽での晴れやかな顔。この物語のように、自分とは関係ない作用で自分の世界を失うことは多々あるわけで、そのぼんやりとした日常と世界の境界線、変わってしまった世界(A’)からそれまでの世界(A)に全力をこめて戻ろうとしても戻れなかった。それは自分の世界しかもち得なかった少女が他の世界に触れることに他なりません。そして、自分が作り上げた世界でなくても彼女は笑う。マッチョに礼をいう。友達に大切だよと伝える。それはルート225が単純なファンタジーの境界線としてだけではなく、√225=15、つまり15歳になった彼女の通過儀礼であったことも示しているわけです。「他人のことなんて分からない」彼女はこれを超えた訳ですね。完璧です。
そんな物語をしっかり映画に興した手腕も見事。今までとちょっと違う異世界への渡り方に海を挟んだのも見事だし、その世界の描き方、2人の主役の魅力をしっかりと引き出したのもすばらしいですね。ブレのない世界観は特筆モノ。もちろんそれに応えた2人の子役にも拍手。多部さんは今となってはかなり見る顔になりましたが、この映画に出れたのはよかったんじゃないでしょうか。これからも珍獣系美女として頑張ってほしいです。

評価 ★★★★★

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