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風花 kaza-hana


風花 kaza-hana [DVD]

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2000年。成海章の同名原作小説を相米慎二監督が映画化。成海さんは北海道出身の作家で、北海道を舞台にした小説を結構書かれていますね。それと色濃い人間ドラマを書くイメージがあります。うち映画化されたのが本作と「輓馬」。映画名は「雪に願うこと」なんですが、私にしては珍しく小説は読んでいても、まだ映画は見たことがございません。相米監督は本作が遺作となったとのこと。巨匠と呼ばれることが多い監督ですが、本数は意外とすくない監督。もとは左翼の活動家の方のようですね。主演は小泉今日子。ショートカットが売りでアイドル時代もかなり人気ありましたが、ここに来て女優としても光を放っていますね。それとこれまた評価の高い浅野忠信とのコンビ。その他出演は柄本明、麻生久美子、尾美としのり、小日向文世、酒井敏也など。声の出演のみの笑福亭鶴瓶が隠し味。

心に傷を持つ男女二人のロードムービーの物語。見る人から見ればありきたりな設定とも言える物語。展開もそれ。そこで問われるのは2人の心情描写や2人の関係がいかに深くそして見ている人の心の中に入るよう表現できるか。これがこの映画における価値観だったかと思います。中にはエリート官僚と風俗嬢の恋なんてと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そもそもある種特殊な関係でなければ人と人なんて繋がらないんです。異性をファッションのように進歩的に着せ替えることに正当性をもって恋愛をされている方にはお分かりにならないでしょう。
自殺を思う女性の心に気づきながらさらに彼女を追い込むことしかできない男。そこからの自殺未遂から身を挺して助けるところと死んだつもりになる女性のラストは染み入ります。男の行動には人を小ばかにする伏線もしっかり張っていましたし、なかなかの表現ですね。母娘の微笑しい姿を見て車をいったりきたりさせるところも物語の先を見るようで可笑しくもいいシーンでした。タイトルの風花とは晴天に降る粉雪とのことで、春シーズンに多いようです。一山超えると天気が変わるとよく聞きますが、その晴れたほうに山の向こうの雪が降ってくるのが風花ということになります。そういえば映画の中で何度も山の向こうを意識するセリフがありましたね。あの小泉今日子の長回しの踊りのシーンの雪がそれですね。あの「風花」の舞とも言える踊りのシーンは死を求める前の美しさというものがよく現れていたと思います。もちろん自殺は私は企意図したこともなく分かりませんし、愚かなものなのですが、自ら死を選ぶ人の気持ちはああいうものなのかもしれません。心情が愚かしくも美しいということですね。よく長回しのシーンを嫌う映画ファンの方がいられますが、私は好きですね。ぶつぶつ切られるより細部まで演技を楽しむことができますので。なかなかよくできている映画ですね。
ロケ地は北海道の佐呂間町を中心にしているようですね。エンドロールに塩狩温泉の名前もありましたが、あのロッジのあたりが塩狩おんせんでしょうか。佐呂間ってのはあのサロマ湖のあたりですね。オホーツク。あと、あの使われてた車ですが、本作の後に大沢たかおが主演した「花」という映画にも同じ車が使われているそうです。なんでも故人となった監督の撮影スタッフが担当した映画だったそうで。

評価 ★★★★☆

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