- 2009/08/29 17:52
- 映画

メゾン・ド・ヒミコ 通常版 [DVD]
Powerd by AmazonLink 2.0.0 beta3.
![]()
2005年。犬童一心監督作品。こちらの映画は監督の名前を売った「ジョゼと虎と魚たち」で脚本を担当した渡辺あやとのコンビ第2弾ということで、期待も高かったようですね。原作として明示されたものはなく、オリジナルストーリーということですが、大島弓子「つるばら つるばら」の話を元にしているとのこと。主演オダギリジョー。ヒロインに柴咲コウ。その他田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門、青山吉良、柳澤愼一、井上博一、森山潤久。監督が妙にこだわり続けているご年配の俳優さんが並んでおります。
物語はゲイとなって家族を捨てた父が経営するゲイのための老人ホームにその娘が絡んでいくというもの。ゲイの老人ホームってだけで強い物語性を感じますが、なんの内容がとても充実しています。特に実質の主演である柴咲コウの視点から描かれる人間構図がすばらしいです。憎む父から発したゲイとの対立から柔和し、そこからオダギリといろいろあるところからラストまでの展開がとてもいいですね。ゲイが女を抱けるのかというところから捩れだして、脳卒中でホームにいられなくなったゲイについて、秘密にしていたゲイの素性を家族に知らせるか否かでクライマックス。ゲイは自分を社会の偏見から開放しているとはいえ、やはりいわゆる社会との差異にずっと悩んでいる人たちで、ゲイ仲間が出した結論は、ばれると分かってて知らせないという賭け。それに柴咲はゲイのエゴだと激怒してホームを離れ、元の生活に戻る。しかしながら、ゲイたちは社会に虐げられている一方、普通の人にはない人の優しみというのがあって、それを知ってしまった柴咲はその元の生活に涙を流すわけです。
柴咲の役どころの行動はそれこそ至って白く真っ当なもので、責められるものはない。むしろ当然とすら思っている方も多いと思います。ところがそこには人の繋がりがないんですね。私たちは多くの人と繋がりたいと思いつつ、実のところたった一人の人間とも繋がることが危ういところに生きています。そんな中で繋がりが得られるのだとすれば、やはり映画の中にあった田中泯の「私は嫌われている、でもあなたが好きだ」という旨のセリフであり、ラストのピキピキピッキーのような呪文であるのだと思いますね。柴咲に受け入れてもらえなかったホームのゲイはきっと帰って来ると彼女の帰りを待つ。そして帰ってきた彼女を笑顔で受け入れる。人と人が受け入れあうというのは、このような「祈り」と「想い」である、そうこの映画は伝えます。かなりの高みにまで達して問いかける見事な人間ドラマです。
とまぁ、かなり高レベルのお話なんですが、映画の作りがちょっと気に入らないので、全体評価としては★を一つ落とします。無駄にシーンがながかったり、意図を感じませんので。見た後に調べてみると、恐らく監督以上にこの物語に色を付けたであろう脚本の渡辺あやさんは「約三十の嘘」も手掛けていたとのこと。前述の柴咲の視点の良さはいうまでもなく、その他真っ当でも真っ当でなくても詰まらない世界観、馬鹿にしつつゲイに惹かれる中学生などなど物語の組み立てや配役の役割が見事です。脚本家の仕事って感じがします。監督というよりこの脚本家さんの力を私は求めているのかもしれません。
最後にロケ地。映画冒頭では神奈川の大森海岸っていっていましたが、静岡の御前崎あたりでのもののようですね。
- 新しい: よさこい動画集
- 古い: よさこいレポート(5)