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蒲田行進曲


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1982年。つかこうへいが劇のために書き下ろした原作を自身で書籍化、そして深作欣二監督によって映画化された作品。主演は松坂慶子。彼女は今尚現役の大女優でありますが、私の年代ではいわゆる主演級の作品を見る縁が少ない方。今回貴重な機会でした。そしてもう一人の、というより本当の主役といってもいい平田満。その他風間杜夫、高見知佳、蟹江敬三、原田大二郎、岡本麗、石丸謙二郎、萩原流行、酒井敏也、岡本麗、千葉真一、清川虹子、真田広之。特にびっくりなのは岡本麗。そんなこんなで、原作は直木賞受賞、映画はアカデミー賞の作品賞から監督賞、主演男優、主演女優、助演男優などタイトルを総なめした作品です。

撮影所を舞台にした映画スターとその子分、そしてスターの愛人である女優の関係を中心に、映画製作の舞台裏を描いた物語。劇でいうといわゆる喜劇となりますかね。序盤からの展開、男と女、そして人生そのものを描ききる中盤、そしてラストの階段落ちと本当のラストまで、力のある脚本と映像で描ききっています。五木寛之がこの作品を評するに、天皇制と身分制度についての影絵文学、つまり日本の社会構造の背景を隠喩として含んでいると。なるほど。銀ちゃんこと銀次郎と大部屋俳優のヤス。無理難題を銀ちゃんに押し付けられても素直に聴く端役。それが池田屋の階段落ちで逆転。豪そうに立ち振る舞うヤス。ヤスのタバコに火を付ける銀ちゃん、そして銀ちゃんに殴られるヤス。そして階段落ち。あくまで喜劇の中にこれだけのものをしかもしっかりと際立たせている作品はなかなかないです。楽しくて深みもある。エンターテイメントの極地的な作品ですね。もちろんラストのラストも。いわゆるカーテンコール。夫婦の軋轢や池田屋階段落ちから、微笑み深いラストでのめり込んで、最後にほっと肩を下ろさせてくれる見事なオチ。ああ、これは劇中の劇だったんだと改めて思わせてくれし、逆に改めてあの本気の演技のすばらしさが蘇ります。そんな映画とそれを見るものとのちょっとした関係性にも手を入れて。劇では当たり前にあるカーテンコールもああ見ると新鮮ですね。


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最後にメモ的作品背景。あの大部屋俳優ヤスは東映の大部屋俳優で実際に階段落ちをやった汐路章をモデルにしてその逸話をモチーフに物語が書かれたとのこと。映画は松竹と角川の共作とされていますが、実際の京都の東映撮影所を舞台にしているのも一興かと。タイトルの蒲田ってのは、何で京都撮影所なのに蒲田、と思いますが、これは松竹の撮影所があった松竹キネマ蒲田撮影所の物語としているため。あの主題歌の蒲田行進曲は、その蒲田撮影所の所歌だったそうです。だから歌詞にキネマキネマと出るんですね。もとは東映の役者のお話で、松竹が映画を製作して、蒲田って話にしつつ東映の製作所で撮影して、挙句に松竹の歌を歌う。ややこしいですね。
もう30年近くの映画ということで、改めてその時代を見るいい機会に。今の時代では倦厭されるあの主従の関係やバイオレンス部分も、あの時代としてしっかり見るのもいいことかと。ただ毛嫌いしていては何も始まらないので。

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