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きけ、わだつみの声 Last Friends


きけ、わだつみの声 [DVD]

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1995年。原作としての明記はありませんが、タイトルにある学徒兵の遺書を集めた遺稿集「きけ、わだつみのこえ」を基にした戦争映画です。また同じく同書を基にした「日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声」のリメイク作品にあたる作品になるとのこと。1995年ということで、戦後50年記念作品としての制作でありました。
監督は出目昌伸。私はお初だったのですが、「バルトの楽園」を手掛けた方とのこと。黒澤明監督の助監督を務めたことがあるそうです。出演は織田裕二、風間トオル、仲村トオル、的場浩司、緒方直人、鶴田真由、河原崎建三、もたいまさこ、遠藤憲一、斉藤暁、井川比佐志、寺田農、大和田伸也、宮崎淑子、田村高廣、石橋蓮司。大物揃いです。

明治神宮外苑競技場(現在は国立競技場として立て替えられた)の学徒出陣から始まって、戦地に散らばる若者。それをフィリピン戦線と本土戦の2つに分けて描く。惨状の戦争末期、どうしてそこまで命を賭してまで戦争を続けなければならないのか、どうして敗色濃厚の地に、若い命を見殺しにしなければならないのか。そう素直に思わせてくれるような映画。織田裕二をはじめ当時の若手俳優陣がそのテーマを見事に演じ切ったのが好印象。とりわけ学徒兵から神風特攻隊にという件はつい最近読んだ遠藤周作「女の一生」とリンク。とりわけ学徒に至っては当時軍や「生きて虜囚の辱を受けず」の戦陣訓に馴染まない学生を煙たがり、過当な指導をしていたとか。当時の大学生は今ほど身近なものではありませんから、肉体派にとってインテリに対するアレルギーでも出たのでしょうか。だとしたらあまりに阿呆らしいものです。そんなものが戦争のエネルギーになるなんて。でも、きっとそれが戦争なのでしょうね。

戦争はあれやこれやと組織が動いたり今尚私たちの課題であります。大事なのは様々な冷静さを持ってしっかり考えること。この映画に関しては戦地に赴いた本当のわだつみの声です。劇中風間トオルが「日本に帰りたい」というセリフを叫ぶ。祖国を、家族を守りたいその気持ちはあくまで自身の行為(戦死)を正当化するのもので、本音はこうだったのではないでしょうか。せめて日本の国土をみて死にたい。日本に帰りたい。その悲惨な戦場の前線に立たされた学生はまさにこう思ったのではないでしょうか。
もうひとつ劇中の「誰がこんな戦争を始めたんだ」争いは意見が食い違うものがそれぞれの正当性を持ち出すもの。負ければ植民地に、奴隷になる。これも正当化に過ぎない。そしてそんな正当化を持ち出して戦争を始めるのはのうのうと安全なところに隠れている人間です。まさに織田裕二的にいうと「事件は会議室でおきているのではない!現場でおきているのだ」と。
私は戦争を繰り返さないというこの国を誇りに思っています。これがずっと続くことを願っています。

豆知識ですが、この映画は絵に結構拘っていてフィリピン戦役のシーンは本当にフィリピンでロケをしたとのこと。零戦戦闘機が飛ぶシ-ンは現存する本物のゼロ戦を飛ばしたそうです。あと制作にアメリカの方も入っているそうで、力の入りようが感じられますね。

評価 ★★★★☆

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