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犬神家の一族(2006)


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2006年。横溝正史の同名原作小説を市川崑監督が映画化。この原作は映画化ドラマ化となんどもリメイク作が出ていますが、こちらは先に紹介した1976版映画の同監督によるセルフリメイク作品となります。主演は1976年と同じく石坂浩二。その他警察署長の加藤武、神主の大滝秀治が同じ役で出演。30年前の役を同じくこなしてしまうというのは驚き。また前回と違う役で三條美紀も出演。他の俳優は入れ替わっております。それらの面子が、松嶋菜々子、尾上菊之助。三姉妹に富司純子、松坂慶子、萬田久子。葛山信吾、池内万作、石倉三郎、尾藤イサオ、林家木久蔵、三谷幸喜、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、草笛光子、中村玉緒、中村敦夫、仲代達矢と。オリジナルと同じく豪華な布陣といって差し支えないかと。

同監督での30年ぶりの、しかも主演を変えずにセルフリメイク。どうなることやらと拝見しましたが、まぁとにかくオリジナルの1976版に似せて作っていました。さすがにあの町並みはロケではなくてセットのようでしたが、作品の全体的な色調感からそのままでしたね。多少の台詞の入れ替えで物語のこまかいところや筋を分かりやすくしたという程度で、制作としては何もかわっていませんでした。詰まるところ、意図としては、主役を変えず、または新しく俳優陣を入れ換えて、敢えて同じものを撮ろうと、そんなところでしょうか。
となると左右するのは俳優陣の出来。オリジナルの比較からすると、オリジナルのほうがよかったです。本当に1976版と雰囲気が同じなんですが、そこに新俳優が馴染めていない。ピックアップすると松嶋菜々子。一番最初のアップの表情で見る気概を削がれました。深田恭子もミスマッチでしたね。彼女をあそこに配した意図は分からなくもないんですが、あれは似たようで違います。あそこの役は映画でいい役割だったので残念な結果に終わりました。30年ぶりという視点では、石坂浩二はさすがに年を感じましたね。金田一が事件の急を知らせる「走り」の場面。さすがにその走りに鈍さを感じました。それはそれでよかったですがね、やはりリメイクの意義というか、オリジナルからの「進化」という見所がないのが残念でした。それを象徴する金田一走りですね。

本当に同じ映画なので、特別見たい俳優でもいない限り、オリジナルをお勧めします。フィルムの旧作でも今は技術も進歩してデジタルリマスターという「進化」をあえて選択しなかった。そして質が落ちるというのはやはり俳優陣ですかね。その「進化」視点からもうひとついうと、当時充分に大好評だった映画をさらに分かりやすくしようという試みは嫌いです。これにはさらに広く顧客を獲得する意図があるんでしょうが、その分当然浅くなります。台詞でしゃべってしまうと見ている側の大切な印象や想像する楽しみがなくなってしまう。この明確さを求める試みは多くのリメイク作で目にしますが、これは少なくとも進化ではない。つまりリメイクの意味がないと思います。前作が金字塔なら、これが致命的ミスです。

評価 ★★☆☆☆

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