ホーム > 映画 | 生活向上 > BU・SU

BU・SU


BU・SU [DVD]

Powerd by AmazonLink 2.0.0 beta3.
http://ec2.images-amazon.com/images/I/41qD50YKoGL._SL500_AA300_.jpg

1987年。「トキワ荘の青春」「トニー滝谷」などを手掛けた市川準監督作品。監督業とともにCM演出家として知られる氏ですが、その監督の映画処女作となるのが本作であります。私は映画に限らず、音楽家などでも処女作というのはその人の他作品とは違ってさらに興味があります。自分の名前でこういう作品を作る場合、最初ってとても力が入りますよね。自分の考えを必死に取り入れようとしたり、誰でもそうおもうところがあると思います。その人が本当に何が伝えたいか分かるんですよね。後に巨匠と呼ばれる人でも結果不恰好な作品もあるのですが、そんなところが好き。私は市川作品はもうすでに多数見ているのですが、ここに来て処女作を見るのはなかなか楽しみでした。
主演は富田靖子。当時すでに大林宣彦作品「さみしんぼう」などに出演して頭角を表していたのではないですかね。いわゆる引張りタコではないですが、若手実力派女優として起用された感があります。その他大楠道代、高嶋政宏、伊藤かずえ、イッセー尾形、室井滋、ゆまけい。端役で世界の輪島功一なんかも出ていましたね。スタッフでは脚本の名に内館牧子さんが出ていたのがちょっと気になるというか、面白いところ。あの相撲愛の内館さんですね。なんでもこれが初脚本だったとかで。

物語は、地方から東京に出てきた冴えない女子高生が一念発起して何事かをやり遂げるという物語。このような青春期の葛藤からアイデンティティを獲得するといった成長物語を教養小説とかビルドゥングスロマンとかいうそうですね。いわゆる青春ストーリー。この物語の設定では、東京で親馴染みの芸者置屋で見習いをして、暗い思い出に苛まされながらも、同じく辛い経験を持つ仲間と打ち解けるうちに井原西鶴「好色五人女」の人形浄瑠璃「八百屋お七」を高校文化祭で演ずることを決断する。その八百屋お七が自身の殻を打ち破ったり、母との確執を説く大きな手掛かりになる。人の、特に主人公の感情の変化が的確に描かれているのがいいところ。
でも、この映画のすごいところはそこではなくて、その主人公を心情や変化を映し出す映像。さきほど物語が的確に描かれているといいましたが、細かなカットで丁寧に、主人公が見た視点というアングルで綴られていく映像が物語に説得力を与えているんですね。転校生を奇異な目で見るクラスメイトのスローのカットや学校をサボって東京の街に繰り出す映像など、何を見てそして何を考えているのか、台詞がなくてもとてもよくわかります。まさに映像で語るといった映画。物語はいたってシンプルですが、この映像とのマッチする完成度がかなり高いです。私は市川映画を好きなんですが、それは映像がすばらしい作品がとても多いから。この処女作でもそれが如実に現れていて、やはりこの監督は映像の監督だな、と。写実というのですかね。映画なんだから写実もくそもないかもしれませんが、それでもこれだけ高いクオリティで映像で勝負できる方はすくないです。物語は決してめずらしい話ではないんですが、見せる映画としてのクオリティの高さ、これをこの映画で見ていただきたいと思います。

評価 ★★★★☆

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:0

この記事のトラックバック URL
http://www.helloalive.com/blog/10096/trackback
トラックバックの送信元リスト
BU・SU - 茜食堂 より

ホーム > 映画 | 生活向上 > BU・SU

検索
フィード
メタ情報